P46X線イメージインテンシファイアの残光特性の測定

2000/1/25@BL40XU

 

 

 コレステロールの粉末回折パターン(X線エネルギーは12.4keV)を,出口窓の蛍光体にP46を使用したX線イメージインテンシファイアと高速CCDで観察し,ロータリーソレノイドシャッターでX線を遮断したときにCCDカメラで観察される強度の減衰曲線を測定した。

 

セットアップ

1

   ステンレス製ソレノイドシャッター

 


X

         コレステロール粉末

                  真空パス

 Heフローイオンチェンバー

PC(DELL)

 
 

 


 X線は12.4keVGap14.3mm)で,フロントエンドスリットは水平500ミクロン垂直165ミクロンである。アブソーバーを入れてX線強度を調節している。

1.3ミリ秒/フレームという高速な測定を可能にするために,C4880-82は走査線5本分しか画像を記録していない(横方向はフルに656ピクセル)。これを可能にするために,Be窓は画像を記録する部分を残してすべて銅板で多い,”SCS 0”コマンドで水平レジスタの読み捨てを停止した。

 測定を開始してからシャッターを開き,続いて閉めて,その間にC4880-82ではHiPicSequence測定を行った。さらに,C4880-82のフレームタイミング(VD信号)と,イオンチェンバー電流をLabView(岡ソフト)で記録した。イオンチェンバーは応用光研の3.3cm長のもので,Heを流している。高圧は400Vとした。

C4880-82の反射強度は,リング状の粉末回折を記録しているが,垂直方向が5ピクセルしかないので実際にはリングがスリット状に切られてスポットのようになっている。その強度の強い部分(3x3ピクセル程度)の積分強度を測定した。

 これら3つの信号をプロットしたのが下の図である。

 

 

 

2

 

 信号は3つとも規格化してある。フレームタイミング信号は,フレームの区切りで約0.4ミリ秒だけHIGHになる信号である。この測定ではX線強度はあまり強くなく,ピクセル値も飽和していない。シャッターを閉めるとイオンチェンバーで測定したX線強度が低下し,CCDで測定した強度も低下する。イオンチェンバーはやや飽和しており,レスポンスが遅い印象があるだけでなく,シャッターが閉まった後もしばらく電流が流れている。シャッターの切れたフレームでのイオンチェンバーの電流がCCDでの測定よりも多めに見えるのも,飽和しているからと考えられる。

 イオンチェンバー電流からは正確にどこでシャッターが閉まったかはわからないが,CCDカメラで測定した反射強度では,閉まりかけの中間強度をとるフレームは一つしかない。その後のフレームではX線強度は実質的にゼロになっている。したがって,残光は1.3ミリ秒以内に消えている。

 

 次に,X線強度を増やしてピクセル値が飽和した状態で同じような測定を行った。シャッターを閉める前には,ピクセル値を飽和させる強度の2倍程度の強度のX線が入射している。

3

 ここではイオンチェンバー電流の落ちに比べてCCDの積分強度の落ちが小さいが,これはX線が強くてピクセルが飽和していたからである。ここではイオンチェンバー電流は飽和していないように見える(なぜ?)。CCDのピクセル値が飽和していたことは,シャッターを閉める前の積分強度の値がきれいに一定になっていることからも分かる。

 この実験では,僅かだが残光が見えている。シャッターの閉まったフレームの次のフレームの残光は,実際にはシャッターが閉まりきっていない可能性があるが,これ以後数ミリ秒持続していることは間違いない。以上の二つのデータを合わせて考えると,このX-IIには0.20.5%の数ミリ秒持続する残光があると思われる。

 

 X-IIにはゲート機能があり,マイクロ秒のタイミングで電子の増幅をOn/Offできる。増幅がOffになっていると,前面の蛍光体とフォトカソードで発生した電子は後ろの蛍光体に到達しない。そこで,X線シャッターが開いている間はゲートをOffにしておき,閉まってからOnにすることで,前面の蛍光体(CsI)の残光特性を評価できる。これを行った結果が下の図である。

 

 

4

 ここでは,イオンチェンバー電流,フレームタイミング,積分強度のほかに,X-IIのゲート電圧(ゲート電源の出力)もプロットしてある(フレームタイミングに同期したノイズが乗っているように見える)。前の実験と同じく,X線の強度はピクセル値を飽和させている。X線シャッターが閉まってイオンチェンバー電流が下がってからゲートを開いても,残光が観察されることがわかる。このプロットの積分強度は規格化されていないが,図3の積分強度の1の値と比べると,この図の積分強度の最大値は0.2%程度なので,CsIによる残光の強さはP46による残光と同程度ではないかと思われる。CsIの残光は長く持続しており,図3の長い残光成分はすべてCsIによるものかも知れない。

 

 残光をより正確に測定するには,再現性よくシャッターを閉める必要があるので,ソレノイドシャッターではこの精度が限度だろう。